亀甲文様のいわれ




 亀甲はその字が表すとおり、亀の甲の文様です。亀は中国の四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)の内の玄武で、神の意を伝える能力を持ち、長寿のシンボルでした。亀の甲を焼いてそのひび割れの方向で占いをし、神の意と考えていました。また亀の甲(六角形)が崩れない連続模様で、永遠の繁栄を願ったものと思います。
 現代の化学では物質を表すものに、炭素原子6個からなるベンゼン核を用いますが、太古から蜂の巣や雪の結晶も六角形で、自然の中でその形の不思議なパワーに気が付いていたことに驚かされます。
 えんぎあんでは右の写真の袋帯、『亀へん亀へん吉向吉幸』
を創作致しました。亀の甲が四分六で縦に分かれた文様ですが、見る視点を変え、発想の転換をすることも、良い方向へ進み幸せになるという意味を表現しています。
鶴亀のいわれ




 七宝文様は、輪つなぎの文様で、四方八方に輪が広がっていくところから、四方八方が七宝と音が似通っていて、七宝となりました。
 仏教でいう七つの宝は金・銀・瑠璃・玻璃・しゃこ・瑪瑙・真珠をさし、人と人とのご縁は、何よりもかけがえのない宝物であり、目に見えないものの、当時の財宝すべての物質「七宝」と同等の価値があるという意味がありました。
 えんぎあんでは、名のとおり一つ一つのご縁を大切にして、どこまでもご縁が広がればと願っています。
 右の写真は、その七宝文様を、『四方八方縁結び』という柄名をつけ、西陣の束錦引箔袋帯でシンプルに創作致しました。
 
七宝文様のいわれ
熨斗文様のいわれ



      
 熨斗とはもともとは「うっと」と読み、現在のアイロン、即ち昔は火のしごてのことでした。衣服のしわをのばすので、「のし」といわれるようになったのです。

 「のし」は言葉が「伸す」で、「延す」と同音のため、長生き、長寿を意味し、またご縁を「延す」という意味から、最もおめでたい文様となりました。
 文様は、鮑の肉を手で裂き伸ばして、それを干して束ねたものを「束ねのし」といわれています。ご縁を永遠に大切に延したいという意味から、のし袋にも使われるようになりました。
 えんぎあんでは、右の写真の色留袖の
文様に束ねた熨斗を多く入れて、楽しいを表し、
琴と笛を入れて、『楽しいこと増える』という
色留袖に創作致しました。
 

 
         
 着物の文様




 鶴は千年亀は万年といわれているのは、中国の神仙伝説に、鶴は千年亀は万年の寿命を楽しむといわれ、長寿のシンボルとされてきました。ともに仙人が仙術を用いて、空中を移動する時は仙鶴に、水中を渡る時は玄亀に乗って移動したといわれています。
 実際に鶴亀ともそう長生きしませんが、空を自由に優雅に舞う鶴を見て、海を潜水艦のような甲羅を持って深くもぐる亀を見て、仙人と共に生きる最高の長寿の証とイメージしたと考えます。
 えんぎあんでは、シンプルな冠鶴で『幸せ感づる』という題名で創作しました。カンムリのムリがありませんが、人生無理はしないほうが幸せを感じていただけると思います。
 尾がはえた番の亀と円相で、『元気に亀万年』という題名の黒留袖です。亀は万年にして尾がはえ、玄亀になるといわれています。夫婦の亀が円満に元気に、ともに長生きを願った意味の文様です。